渋谷区郷土博物館で「なつかしき昭和の暮らし」展 「とと姉」の時代背景と重ねる

「進駐軍払い下げの革ジャン」「ジュラルミン製の電熱器」など展示の様子

「進駐軍払い下げの革ジャン」「ジュラルミン製の電熱器」など展示の様子

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 白根記念渋谷区郷土博物館・文学館(渋谷区東4、TEL 03-3486-2791)で現在、企画展「なつかしき昭和の暮らし」が開催されている。

庶民の暮らしぶりがわかる「昭和30~40年代の居間」を再現

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 「家電」「住宅」「流行」の3つの視点から、戦後の渋谷の暮らしを読み解く同企画。「2015年度は戦後70年を迎え、戦争関連の企画を展開してきた。一区切り付いた今年は『戦後』をテーマとした」と同館学芸員の松井圭太さん。展示方法は、戦後の庶民の暮らしを支えた生活総合誌「暮しの手帖」の特集記事を活用して構成し、NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」の時代に思いをはせながら展示が楽しめるようにした。

 「家電と暮らし」コーナーでは、戦後間もなく渋谷の闇市で販売されていた「航空機用のジュラルミン製の電熱器」(昭和20年ごろ)や、ワシントンハイツ(現、代々木公園)周辺で売られていたと思われる「進駐軍払い下げの革ジャン」(昭和20~30年ごろ)、昭和30年代に「三種の神器」と呼ばれ庶民の憧れだった「洗濯機」「冷蔵庫」「テレビ」などを展示。「暮しの手帖」の商品テストの実際の記事と共に、当時高級だった東芝製小型洗濯機「TYPE-P」(昭和27年製造)や、手回し洗濯機「カモメホーム洗濯機」(昭和32年~45年)などが並ぶ。

 戦争で総面積の77%を焼失した渋谷区。「住宅と暮らし」コーナーでは、建築資材の不足を背景に「12坪制限住宅」に家族で暮らす戦後の住宅事情や、日本で初めての鉄筋コンクリート造分譲住宅「宮益アパート」(昭和28年建設)などの公的住宅を紹介。同展では、当初エレベーターガールが同乗していたエレベーターの「階表示板」や住人が手紙を投函する「郵便口」、「ガラス製のトイレノブ」「玄関用照明」など、アパートの解体工事前に取り外されたプレートや金具、表示板などを公開している。

 そのほか、「とと姉ちゃん」の劇中でも紹介された、着物をリメークした「直線裁ち」のワンピースや、夏用の衣類として人気のあった「アッパッパ」など、衣類の流行の変遷を追った展示も。仮面ライダー、ゴジラなど子どもたちが熱中した昭和レトロの玩具なども数多く並ぶ。昭和30~40年ごろの居間を再現した一角には、脚付きの白黒テレビや黒い固定電話、子どものランドセル、チャンバラごっこの道具などが置かれ、当時の暮らしぶりが垣間見られる内容となっている。

 松井さんは「展示を通じ、昭和という時代を知らない世代には知ってもらい、知っている世代には懐かしんでもらいたい。今回は小さい展示室にたくさんの資料を所狭しと並べているので、駄菓子屋のような展示になっている。博物館学的にはどうかと思う人もいるかもしれないが、いわゆる博物館の近寄りがたく高尚な展示というのではなく、地域博物館として、気軽に立ち寄れ、資料の山から懐かしい物・興味のあるものを見つけ出し、楽しんでもらえれば」と来館を呼び掛ける。

 開館時間は11時~17時(入館は30分前まで)。月曜休館。入館料は、一般=100円、小中学生=50円。3月26日まで。

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