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「恵比寿映像祭」開幕 26カ国・地域の73組出品、虫の足音や香りの展示も

グーグルアースとグーグルマップを用いたウェブサイトを記録した「GEOGOO」

グーグルアースとグーグルマップを用いたウェブサイトを記録した「GEOGOO」

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 恵比寿ガーデンプレイス(目黒区)内「ザ・ガーデンホール」などで2月11日、「第8回恵比寿映像祭『動いている庭』」が始まった。

アリジゴクが巣を作る過程を展示する作品

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 東京都写真美術館やアーツカウンシル東京(東京都歴史文化財団)などが主催する同祭は、「東京文化発信プロジェクト」事業の一環として2009年に始まったアートと映像のフェスティバル。

 これまで、東京都写真美術館(同)を中心に行ってきたが、同館が現在改装中であることから、日仏会館、恵比寿ガーデンシネマなど複数会場で展開している。

 今年の総合テーマは、仏思想家・庭師のジル・クレマンさんが荒れ地の植生から着想を得た「動いている庭」。現代社会を「日々変容する庭」と位置付け、ネットワーク社会やテクノロジー、都市環境など「現代社会の自然」を作品で提示し、人間中心ではなく自然と共に作り上げていく世界像を考察する。場内には、クレマンさんの思想や活動もパネルで紹介する。

 今回は、26の国や地域から73組が132点の作品を出品。トーク登壇者などを含め91組が参加している。展示作品は、水の中に入れた錠剤の溶ける様子を捉えたコマ撮りアニメーション「タブレット」(ピョトル・ボサツキさん)、砂と岩絵の具の粉末を入れた容器でアリジゴクが巣を作る過程を展示する「シルトの岸辺あるいは動く庭」(銅金裕司さん)、グーグルアースとグーグルマップを用いたウェブサイトを記録した「GEOGOO」(JODI)、クワガタやダンゴムシの足音を聞こえるようにした「Bug’s Beat」(佐々木有美さん、ドリタさん)、川崎大橋の下に住んでいた男性を撮影した1974(昭和49)年の作品「橋の下から」(ビデオアース東京)など。

 日仏会館には現代美術家クワクボリョウタさんのインスタレーション「風景と映像」を展示。暗い部屋の中でLEDライト付きの鉄道模型を走らせることで、床に置いたバケツや鉛筆など日用品の影が壁面に映し出されるようになっている。

 恵比寿ガーデンプレイス・センター広場には、科学者やエンジニアと協働して「霧の作品」を発表してきた中谷芙二子さんが、独自に開発したノズルと高圧ポンプシステムを使いダンプ2台から霧を発生させる「霧の庭“ルイジアナのために”」を展示。天井からつるした数十個の小瓶に入った香料3種類の匂いを嗅ぎ分けながら進むインスタレーション「嗅覚のための迷路vol.1」(上田麻希さん)はSTUDIO38で展開する。

 上映プログラムでは、昨年10月に亡くなったベルギー出身の映画監督シャンタル・アケルマンの遺作「No Home Movie」、クレマンさんのドキュメンタリー「動いている庭」をジャパンプレミア上映。米映像作家ベン・ラッセルさんの三部作や20~30代の若手作家による短編アニメーション、1980年代ブラジルのビデオ作品などもラインアップしている。

 そのほか、ライブパフォーマンスやシンポジウム、参加作家を招いたトークライブ、恵比寿地域に点在する文化施設やギャラリー13カ所が参画する地域連携イベントなども行う。

 開催時間は10時~20時(最終日は18時まで)。入場無料(上映プログラムなど一部コンテンツは有料)。今月20日まで。

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