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特集

ティーンズラボ2005-03-11

「守るものではなく立ち向かうもの」?!
いまどきの「校則」事情

生徒手帳には「校則」が記載されている。校則は各校の校長やPTAの考えが反映されている他、地域性などによってばらつきがあるが、現代の10代はこうした校則をどのように捉えているのだろうか。センター街でのインタビューを含めて現代の「校則」事情を探ってみた。

■1990年代以降、沈静化する「校則問題」

教育新聞社(東京都台東区)から週2回発行されている教育専門紙「教育新聞」の制作部部長、池田さんに現代の校則の傾向について話を聞いた。「校則が盛んに論議されたのは、大まかに言って1990年代頃までで、現在は大きなうねりが沈静化し、校則問題は一段落したようだ」と池田さんは語る。池田さんの話によると、1970年代後半から中学校における校内暴力が発生し、1980年代にピークを迎えた。一時は事細かな校則で厳しく管理しようとした学校もあった。しかしその後、たとえば頭髪に関する校則でパーマや髪染めを禁止する一方で、クセ毛の生徒にはストレートパーマを、天然茶毛の生徒には黒く染めることを強要するといった矛盾した生徒指導が問題視された。1980年代から1990年代のいじめ問題・いじめ苦自殺、1990年の女子高校生校門圧死事件などもあり、日本が1994年に批准した子どもの権利条約にある意見表明権も大きく影響する中で、校則や生徒指導のあり方を見直す動きが出てきた。岩手県にある盛岡市立北松園中学校では、生徒の活動によって校則をなくし、生徒が自ら制服の規定を作った。茨城県にある龍ヶ崎市立中根台中学校にも、現在は校則がない。「こうした経緯で、一部ではいまだに丸刈り校則が存続している学校もあるが、全体的に校則は緩くなってきた」と池田さんは言う。

池田さんは「校則ではなく、父親によるPTA活動などで学校を良くしていこうという学校も増えてきた」と話す。父親が「おやじの会」を組織して積極的にPTA活動に参加し、たとえば学校のトイレを生徒の父親達が塗装や修繕、掃除をし、その姿が生徒を感化していき、学校の荒れが収まった事例などもある。自動車部品販売会社「(株)イエローハット」の創業者である鍵山秀三郎氏が設立した「日本を美しくする会」をきっかけとして、「掃除で心を磨く・トイレを素手素足で磨く」という活動に賛同した教師たちの活動もある。暴走族の少年少女が鍵山氏のトイレ掃除に参加し、これをきっかけに「こんな大人もいるのか」と、大人不信から抜け出せたこともあったという。「規律や規則は大切だが、規則で人を変えることはできないということではないか。『背中で教える』姿勢が子どもの心を動かしていく。地域との連携、家庭との協力によって学校を良くしていこうという動きが、現在は浸透してきている」と池田さんは語る。

教育新聞社

■都心の学校ならではの校則「メディア露出禁止」の背景

ティーンズマーケットの市場調査やプロモーションを手掛けるアイ・エヌ・ジー(宇田川町)は2004年12月、渋谷の女子高生200人を対象に行ったアンケート調査を行った。「自分の学校に対する不満は?」という質問に対し「ある」と答えた135人(67.5%)のうち、66人がその理由について「校則が厳しい」と答えていた。2番目に多かったのは「制服がダサい」(12人)で、こちらも校則に関する不満と言えなくもない。

普段から多くの女子高生と接する同社スタッフの中山さんは、校則が厳しいと思われる高校として、昭和女子大付属高校、聖心女子学院、大妻中学高校などの名を挙げてくれた。中山さんは「厳しいと言っても、基本的な校則の内容自体はどの学校にもありそうなものばかり。要は、守っているかどうかの取り締まり具合が厳しいようだ」と見ている。服装・頭髪・持ち物検査が毎日行なわれているという学校もあり、あまりの校則の厳しさに転校する子もいるようで、その多くは転校先として通信制高校を選ぶそうだ。「通信制といっても全く登校しないわけではないが、やはり校則が厳しかった反動で、極力登校しないで済む学校を選ぶのではないか」と中山さん。反対に、校則が緩い高校については「成城学園高校」「成蹊大学付属高校」「慶應義塾女子高校」「青山学院」などの名前を挙げてくれた。「いい大学の付属高校の場合は、比較的校則が緩い場合が多いようだ」と中山さんは言う。

特に、首都圏の私立高校に関しては、生徒のメディアへの露出を校則で禁止するかどうかで大きく二分されているようだ。背景について、中山さんは「要は学校のイメージの問題」という。例えば、いわゆる「お嬢様高校」というブランドイメージの学校では、渋谷で撮影しているストリート雑誌には得てして派手めな子が掲載される場合が多いため、真面目な学校だというイメージが崩れることを恐れるというわけだ。反対に、慶應女子や青山学院などは、雑誌に載ることについて何ら規制を設けていない。中山さんは「そうした高校は、逆に「雑誌に載るようなおしゃれな人が通う高校」という華やかさをウリにしているのではないか」と推察している。

アイ・エヌ・ジー

インターネット上で校則に関する情報を集めてみたところ「東京都にあるI中学校では『狼カット禁止』という校則がある」とあった。I同校に確認を取ったところ「そんな校則はない。当校では、頭髪に関する校則は『中学生らしいもの』としている」との返答。中学生らしい頭髪とは、何とも曖昧な表現ではある。推測だが、ウルフカットが中学生らしくないと判断した教員から注意を受けた生徒が、それを校則と受け取ったことによる勘違いも含まれているようだ。

また、「大阪府にあるS高校では『地元の友達と遊ぶのは禁止』『電車に乗る際は座席に座ってはいけない』『携帯電話の所有禁止』という校則がある」という情報を得て、同校に問い合わせてみた。「友人関係に関する校則などは常識として有り得ないし、電車の座席についてはお年寄りや怪我をしている人に譲りましょう、といった指導をしているだけで、校則として決めてはいない。携帯電話は学校に持参することを校則によって禁止しているが、所有することまでは規制していない」とのことだった。携帯電話に関する校則ができたのは今から10年ほど前で、迷惑メールや迷惑電話などによるトラブルがあったことを発端としているそうだ。「緊急に連絡が取りたい場合もダメなのか」という質問に対しては、「親御さんと連絡を取る時や、病院に行くなどといった理由がある時は、事前に許可申請をすれば携帯電話を持ってきてもいいことになっている。それ以外は、学校にいる間に生徒が外部からの情報を得る必要性はないだろう」と話す。現在でも、事細かな校則を決めている学校はまだ、存在するようだ。

■校則のない、自由な校風の「ブレア女子高等部」

渋谷・宮益坂のビル内にある「ブレア女子高等部」は、美容専門部も併設している民間のサポート校で、茶パツもメイクもピアスも禁止していない、校則のない学校だ。同校教務主任の大澤さんに話を聞いた。「校則がない、とは言っても、社会の倫理に反するようなことはもちろん認めていない。例えば、授業中に携帯電話を鳴らさないなど、規則としてではなく社会のマナーとして指導している」と大澤さんは言う。しかし、校則として決めていないため、生徒に対する注意の仕方が先生によって異なる場合もあるそうだ。その点「生徒に混乱は起こらないのか」と尋ねると、大澤さんは「生徒には、なぜダメなのかを話して聞かせ、生徒が自ら主体性を持ち、自分で考えることを教育方針としている。それは、社会に出ても同じことが起こり得るからだ」と答える。

同校の創立以来のコンセプトには「徹底して生徒が主役になれる学校を」というものがある。多くのサポート校は一般的に、親へのイメージを大切にし、広告も親に対してアピールする。そのため、不登校の子どもを連れて親が入学手続きにくる場合が大半だが、同校の場合は他校で不登校になった生徒でも自主的に、自分で入学しに来ることが多いのだそうだ。それも、校則のない自由な校風だということが一因となっているのだろう。大澤さんは校則の必要性について「もちろん、集団で行動する限り規則は必要だと思う。しかし、校則について学ぶことには段階があるというのが私の考え。小学生の時は集団活動にはルールがあるのだということを知り、中学生の時にはそれを守ることを学び、高校生になったら、校則がなぜあるのかを自分で考えるべき。同校の校則も、必要であれば生徒に作ってもらいたいとさえ思っている」と語る。

同校は通信制高校のサポート校であるため、提携の通信制高校の入学式には、様々なサポート校の生徒が合同で出席する。大澤さんは「当校の生徒はどちらかと言えば派手でやんちゃな子が多いため、2年前の入学式には他校の親御さんからクレームがきたこともある」と話す。その時は、入学者はまだこれから教育していく生徒であるため、同校側の責任は問われなかった。実際、同校では3年生にもなると、最初はただ派手なだけだった子も、美容部門の授業の影響によってファッションセンスが身に付き、同校の教育によって社会マナーを身につけていくという。「美容の授業は大変厳しいもの。例えば、講師が授業の一環として、映画撮影のメイク現場に生徒を連れて行く際も、遅刻が多かったり、マナーのなっていない生徒は除外される。それが何故なのか、という理由も含め、実践で教えていくことで生徒は理解するもの」と、大澤さん。校則として決まっていなくても、厳しいところは厳しい。それは社会に出てからも同じことであり、ルールを守らなければ自分が損をするのだということが、身をもってわかるように指導している。

ブレア女子高等部
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■渋校則は守るものではなく立ち向かうもの?!

渋谷センター街を歩いていた高校生に、自分の学校の校則について話を聞いた。横浜の某校に通う18歳のタカフミくんは「カラーシャツ禁止とか、髪を染めたらいけないとか、そういう校則はフツーに納得できない」と言う。しかし、タカフミくんの髪の毛は見事に明るい茶パツで、水色のワイシャツを着ていた。同じ学校のユカリちゃんは「校則は守らなくても平気。立ち向かうものなんです!」と言い切る。同じくユリちゃんは、3人の中で唯一生徒手帳を持参していたため、中にある校則を見ながら「所持品には必ず氏名を明記すること、だって。そんなの書いたことないよ、小学生じゃあるまいし」と言っていた。そのほかにも、タカフミくんが「人の弁当食って謹慎になったことある。あと、早弁もしちゃいけないみたい。それから、裸になるなって怒られたこともある」と列挙し始めたが、それはどうやら校則として決まっているわけではなさそうだ。校則として取り決められてはいなくても、明らかに風紀を乱したり、してはいけないことをすれば罰せられることもあるだろうが、彼らにとってはそうした違いを曖昧に解釈しているようだった。

美容高専に通う16歳のリエカちゃんは「上履きを忘れたら100円でスリッパを買わなくちゃいけない校則がある。あと、ロッカーの鍵を忘れたらスペアキーを借りるのにも100円かかるし、生徒からお金を取る校則っておかしいと思う」と話す。同じ学校のタカコちゃん(15歳)は「同じ学校内なのに、高校課程の生徒はメイクをしちゃいけなくて、専門課程の生徒は逆にすっぴんがいけないっていう校則っておかしくない?美容学校なら高校過程だって個性を出せなきゃおかしい!」と声高に言う。ちなみに彼女達の学校は、日曜と月曜が休校なのだそうだ。「月曜に休みでも地元の友達とは遊べないし、友達が学校行っているときに休みなのは、なんか悪い気がしちゃうんだよね」とリエカちゃん。不満というわけではなさそうだが、彼女達なりに何か感じるものがあるようだった。

部活帰りだという16歳の7人組に話を聞くと、アヤネちゃんは「ブレザーのワッペンのところに髪の毛が付く長さの場合は三つ編みをしなくちゃいけない校則って、おかしいと思う」と言い、エリナちゃんは「ポニーテールはいいんだけど、高い位置で結ぶのは校則で禁止されている。これって何の意味があるのかわからない」と言う。彼女達の学校は服装・頭髪に関する規則がたくさんあるようで、その他には「セーターの2枚重ねが禁止されている。寒い場合はババシャツを着るように、なんて、そこまで指定されたくない!」「マフラーは首に巻いた端っこをブレザーの中に入れろとか、小さく結べとか、納得できない!」など。7人は口を揃えて「校則なんか守らない!」と言っていた。

時代の傾向としては、校則は昔とくらべて自由になりつつある。しかし、依然として校則で生徒を「拘束」している学校も少なくなく、10代の学校に対する不満も主に校則に向けられている。学校が荒れれば校則を厳しくし、生徒や保護者から異議・批判があれば校則を改善する。こうして「積み上がった」校則についてもう一度、何故そうしなくちゃいけないのか、何故そうしたルールがあるのかについて、学校と生徒側がきちんと考え直してみることが必要なのかもしれない。

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