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【ティーンズラボ】2004-10-08

曖昧化する「小遣い」のボーダーライン
やりくり上手な10代の金銭感覚

曖昧化する「小遣い」のボーダーライン
やりくり上手な10代の金銭感覚

渋谷を闊歩する女子高生を観察していると、109ブランドに身を包み、カラオケやファストフード、プリクラなどでの消費意欲が旺盛なイメージが強い。彼女たちは、主な「収入源」でもある小遣いをどのような形で受け取り、使っているのだろうか?金銭感覚と併せてレポート。

■家計の事情にも配慮して10代もシビアに節約?!

ベネッセ未来教育センターから刊行された2001年版「モノグラフ・高校生VOL.62」では、「消費者としての高校生」というテーマで調査データが発表されている。この調査は2000年10月から11月にかけて、東京・新潟・宮城・福岡の公立高校1〜3年生のうち、計2,020名を対象に行なわれたもの。その中で「お小遣いとその使い方」の章を見てみると、小遣いの額は「2,000円〜5,000円」が46.6%と最大値を占め、続いて「1万円」が17.6%、「6,000円〜8,000円」が17.3%。また「もらっていない」(必要に応じてもらっていると思われる)生徒は15.0%という結果になっている。また、毎月決められた小遣いから出費するものは「本や雑誌」「CDやMD」「友人との外食・軽食代」がそれぞれ約6〜7割と上位を占める。男女差が10%以上のものは「CDやMD(男子70.2%>女子58.7%)」「文房具(男子33.7%<女子47.1%)」「スニーカーなどの靴(男子29.9%>女子16.4%)」。ちなみに「参考書や問題集」「部活動関連の費用」を自分の小遣いから出す割合は1割以下で、多少でも学校に関わることはその都度、親からお金をもらう生徒が多いことがわかった。

「将来の生き方と金銭」の章では、高校生の金銭意識についても触れている。「まじめに働けば普通程度の暮らしはできる」「お金の豊かさより心の豊かさを大事にしたい」「何としても大金を手にしたい」「悪いことをしない限り大金を手にできない」という金銭の価値観について、各々「とてもそう思う」「まあそう思う」「あまりそう思わない」「まったくそう思わない」の4択で回答させた。その結果、「まじめに働けば普通程度の暮らしはできる」という考え方を「とても〜」または「まあ〜」と答えた割合は95.1%を占めた。多くの高校生は、日本の社会はまじめに働けば報われる健全な社会であると認識しているようだ。また「お金の豊かさより心の豊かさを大事にしたい」と考えるのは84.6%と高いが、「お金より心」と言われれば否定的な反応をしにくいのも事実だ。「何としても、大金を手にしたい」と思うのは62.2%と高いことから、建前は「お金より心」だが、本音は金銭への執着も相応に高いように推察される。さらに「悪いことをしない限り大金を手にできない」と考えるのは23.8%で、金銭的な成功と悪事を結びつけて考える10代が4人に約1人はいるということも浮かび上がった。

以上の調査結果をまとめた、現在多摩地域の都立高校で教諭を務める木下さんは「高校生の小遣いは、月々決まった額としては昔からあまり増えていないが、必要な時にイレギュラーで親が渡すお金が増えている傾向にあるのでは」と言う。その背景として、木下さんは少子化現象を挙げる。親が一人の子供に費やせる金額は増えたが、月々の小遣いとして必要以上にお金を持たせようとはしていない、ということなのだろう。

また、木下さんは「デフレや収入源が叫ばれる今の時代、全体的に見て今の高校生は、金銭感覚に堅実性が増しているように感じる」と付け加える。その理由として、携帯はパケット代の安い「au」を使用する高校生が増えてきていることや、ペンケースや鞄など、生徒が自分の持ち物を大事に使っている様子が伺えるから、とのこと。「例えば大学の受験校数も、以前はいくつも併願する生徒が多かったのに対し、現在は明らかに減ってきている。子供なりに、家計事情を配慮した行動も見受けられる」と、木下さんは話す。通常はお弁当を持参する生徒が大半だが、何か行事がある時は昼食をコンビニで買う生徒も多く、おにぎりなどで非常に安く上げている子が目立つそうだ。贅沢はせず、10代なりに節約をしているというシビアな一面があるようだ。

ベネッセ未来教育センター「モノグラフ・高校生」

■もはや携帯代は「必要経費」、小遣いとは別モノ?!

女子高生を対象とした市場調査やプロモーションを手掛けるアイ・エヌ・ジー(宇田川町)が毎月行っている、渋谷の女子高生200人を対象にした調査「渋谷トレンドリサーチ」では、お金に関するアンケートを今年9月に実施した。その調査結果を元に、スタッフの中山さんに話を聞いた。

まず「親からもらう1ヶ月のお小遣い」について多かった回答は5,001円〜10,000円が51人、5,000円以下が39人、10,001円〜15,000円が16人という結果だった。「欲しい時にもらう」と回答した子は27人だが「もらっていない」と答えた52人も、実際には無制限にもらっているのが実態ではないかと中山さんは見ている。「『もらっていない』と答えた子は『小遣い』としての認識がないだけで、必要な時に必要な分だけもらっているのが現状のようだ」とも加える。現代の女子高生にとっては「洋服を買うから」「友達と食事をするから」といったように、目的を示して親からもらったお金は小遣いではなく、「必要経費」だという意識があるようだ。アンケートに答えた子の中には、かなり裕福な家庭の子で月に30万円ほどもらったことがあると答えた子もいたという。その内訳は、洋服代と携帯代、友達との飲食代がほとんどだそうだ。

次に、1ヵ月のアルバイトで稼ぐ金額を聞いた。結果は多い順に10,001円〜30,000円が32人、30,001円〜50,000円が27人、50,001円〜80,000円が18人という結果だった。「アルバイトをしていない」と答えた96人は、そのほとんどが学校で禁止されていて、中には親による禁止や受験などが理由で、アルバイトができないという子もいる。いずれにしても「10代女子の大半がお金を得るためにアルバイトをしたい、と考えているようだ」(中山さん)とのこと。アルバイトの職種として多いのはコンビニ、ファストフード、ファミリーレストラン、カラオケなどで時給は800円前後。しかし、1ヶ月に10万円以上稼いでいる子が6人おり、そのうち1人は15万円以上稼いでいるという。中山さんによると、そのほとんどは年齢を偽ってキャバクラなどで働いているという。「全員がキャバクラで働いている訳ではないが、1ヶ月に10万円というバイト代は、通常の高校生活を送りながら高校生の時給で稼げる金額ではない」と中山さんは話す。

小遣いやアルバイト代を、女子高生はどのように消費しているのだろうか。「自分で使えるお金の一番の使い道」を聞くと、1位は「洋服」で110人、2位「食費」41人、3位「カラオケ」18人、4位「アクセサリー」「雑誌」共に5人という結果が出た。中山さんは「渋谷の女子高生の場合、特に洋服に対する執着は何よりも強く、常に欲しいものが溜まっている。そのため、小遣い日が来ると同時に使い切ってしまうという、無計画な子も少なくない」と言う。

また、所持金を聞くと、1,000円以下が28人、1,001円〜3,000円が52人、3,001円〜5,000円が33人、5,001円〜7,000円が27人、7,001円〜10,000円が20人、10,001円〜20,000円が19人、20,001円〜30,000円が11人、30,001円〜50,000円が4人、50,000円以上が5人という結果だった。これは渋谷での調査だったため、買い物のための軍資金を持ってきている子も多いと推察されるが、全体的にはお金を持っている子と持っていない子の「貧富の差」が激しい結果となっている。中山さんは「お金のない子でも、欲しいものはお金のある子と変わらないため、いかにして手に入れるかを悩んでいる」という。中には、友達とご飯を食べるからと言って親からお金をもらい、実際に友達と飲食店には行くけれども何も食べない、という子も少なくないそうだ。おしゃべりをしながら水だけを飲んで過ごし、浮いたお金は洋服を買う資金に回すという「やりくり」が、欲しい物を手に入れるための彼女達なりの手段なのだろう。

アイ・エヌ・ジー

■少子化を反映して曖昧化する小遣いのボーダーライン

渋谷の街中で10代女子の声を聞いた。109に買物に来ていた高校2年生のマナミちゃんは、所持金は1000円、月々の小遣いは1万円だが、携帯の月額使用料は2万円だという。「携帯代は自分のお小遣いで、足りない分はお母さんに払ってもらっている。おばあちゃんとか親戚に会った時は臨時収入もあるし」とのこと。一緒にいたマナちゃんは、所持金が1万1,000円、月々の小遣いは1万円で、その他にスーパーのレジのバイトで月に5万円ほど稼いでいるそうだ。今までで一番高額な買物は何かという質問に対しては「V6のコンサートチケット。ダフ屋から買ったから3万5,000円だったけど、いい席だった。岡田君が大好きで、貯金を下ろして買った」と答えた。携帯の使用料に多額のお金を支払う10代の場合、その他に欲しいものを手に入れるためには、バイトをしたり、貯金をしたりと、堅実なやりくりをしている様子も伺える。

渋谷マークシティにいた4人組の女子高生のひとり、高校1年生のアンリちゃんは「月々のお小遣いは1万円で、バイトはしていない。洋服は買ってから領収書を渡せばお母さんがお金をくれるから、お小遣いとは別」と話す。メグちゃんは「月々のお小遣いは5,000円だけど、お父さんが機嫌の良い時に、お母さんに内緒でお小遣いをくれたりする」という。シオリちゃんは「月々のお小遣いは1万円だけど、携帯使用料は月額2万円くらい。本当はあまり使わないことを約束に携帯を買ってもらったんだけど、今は全額親が払ってくれている」と笑う。しかし、リカちゃんは月々の小遣いが5,000円、所持金は1,500円で「衝動買いとかは全くしない」と言い切っていた。10代の小遣い事情は、その親との取り決めによって大きく差が出ているようだ。

さらに、渋谷センター街を歩いていた16歳の2人組に話を聞いた。メグミちゃんは「お小遣いは最近もらってないし、バイトもしてない。携帯は月に2万円くらい使うけど、全額親が払ってくれる。軽く怒られたりもするけど・・・」と、あまり気にしていない様子。今まで一番大きな額の買物は「ヴィトンの財布で5万円くらい」だという。そのお金はどうしたの?と聞くと「親から盗んだ」との答えに驚いた。また、一緒にいたサトコちゃんは「所持金は300円。お小遣いはもらってない。バイトしろって言われている」そうだ。サトコちゃんの携帯代は両親の口座から自動引き落としで、その金額は把握していないそうだ。

今、10代の小遣いは「二極化」が進んでいるように映る。必要な時に必要な分だけお金をもらえる子もいれば、限られた小遣いの中から、自分の欲しい物を手に入れるためにいかに節約するかを悩んでいる子もいる。携帯代一つとってみても、小遣いで払っている子もいれば、「必要経費」として親が全額を支払い、自分の使用した金額を知らない10代も少なくない。少子化を反映してか、現代の小遣いは、その境界線が曖昧化しているようだ。

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