特集

109-2改装で新世代の聖地となるか?
渋谷ジュニア・マーケット拡大の予感

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■平成ジュニアマーケット拡大の要因

総務省統計局統計センターは、年齢別人口統計のひとつの指標として「年齢5歳級別人口」を採用している。これによると、「年少人口」は0~4歳、5~9歳、10~14歳の3つに分類され、義務教育を終える15歳以上の人口は、「生産年齢人口」に分類され、15~19歳、20~24歳、というように5歳刻みで推移していく。0~4歳、5~9歳、10~14歳、15~19歳、20~24歳といった分類は“年代別・階層マーケティング”の基本でもある。

総務省統計局統計センター「日本統計年鑑」によると、2,000年度の10~14歳の総人口は約659万人。そのうち女児人口は約310万人。ハイティーン(15~19歳)の女子人口が約365万人であることからも少子化の傾向は顕著になっている。

総務省統計局統計センター

幼稚園児~小学校高学年(3~10歳前後)の「チャイルドマーケット」あるいは「ギッズマーケット」と、高校生~大学生(15~19歳)のハイティーンが占める「ヤングマーケット」に挟まれた、子供でも若者でもない微妙な世代。その「チャイルド以上ヤング未満」のローティーン(小学校高学年~中学生)の女の子をターゲットとした市場、通称“ジュニアマーケット”が不況をものともせずに拡大しつつある。中心となる年齢は10~14歳の女子。少子化の影響で一般的には市場は縮小傾向にあるとされていたが、一部の高級ブランド服がジュニアの“カリスマブランド”に成長し、売り切れるショップが登場する一方、ジュニア向け情報誌が続々創刊されるなど、平成ジュニアマーケットはにわかにクローズアップされてきた。

成長のスピードが早い同世代を対象とするこのマーケットはファッション志向がつかみづらく、数年前までは定番ブランドがなかった。雑貨業界では「客単価が上がらない」、化粧品業界では「ジュニアの関心がまだ低い」、アパレル業界では「体形がすぐに変わるので子供服コーナーでは売れないし、価格が高くても売れない」、出版界では「広告が取れない」という理由で、進出する企業がほとんどなかったことから、かつては“空白市場”と呼ばれていた。しかし、1990年代後半にアパレル企業と出版社がマーケットを開拓し、現在までに急成長を遂げている。10~14歳の女子人口約310万人のうち「おしゃれに敏感な人口は1~2割しかいない」(ジュニア雑誌編集長)とするなら、約3~6万人の“ガールズ・イノベーター”がマーケットを牽引したことで、裾野が広がったと言えそうだ。

平成ジュニアマーケットの拡大は、下記の要因が複合的に絡み合い、相乗効果により発生したと言われている。

〈時代的・世代的要因〉
  1. バブル全盛期に青春時代を過ごしたブランド世代の母親(30代半ば~40代前半)の存在
  2. 少子化により派生した子供一人に対する経済的なゆとり
  3. 購買力を支える6(シックス)ポケット(=父母とそれぞれの祖父母の財布)の存在
〈本人直撃的要因〉
  1. ファッション、恋愛への目覚めの低年齢化(早熟化)
  2. SPEED、モーニング娘。などローティーンアイドルの活躍
〈企業のアプローチ的要因〉
  1. マーケティングに長けたアパレル企業の登場
  2. ジュニア向けファッション誌の台頭
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■都市型ジュニア・マーケットの構成要因

若者の街・渋谷には、意外にもジュニアマーケットを支えてきた都市型の施設や企業が多く存在する。百貨店の子供服売場もさることながら、これらの施設や企業がジュニアマーケットの素地を築いてきたと言える。

今年創立50周年を迎える「劇団ひまわり」(恵比寿)は、幼児部から青年部まで一貫した教育システムによって、多くの俳優を輩出してきた名門劇団。俳優やタレントの指導育成だけでなく、舞台、映画、テレビ、CMなどの出演の引き受けを行っているほか、演劇の興行も積極的に行っているため、キッズ、ジュニアの時代からテレビや舞台に露出する機会が多く、子供をあずける父母の間に信頼のブランドを築いてきた。同劇団の俳優養成所の特徴は、幼児部(3~6歳)、児童部(小学生)、中等部(中学生)、高等部(高校生)、青年部(18~35歳)、研究科(青年部の選抜メンバーによる俳優専門コース)、ミュージカルクラス(児童部~青年部までミュージカル俳優を目指すための選抜クラス)、SUNDANCE(12~20歳、歌手を目指す特別養成クラス)など、年代とジャンル、プロ志向の高さで明確に区分けされていることにある。

俳優養成所の大山さんは「子役でデビューすると、“ステージママ”が幅を利かせるという悪いイメージがあるが、父母が過度な期待を抱いている場合は、オーディション時に本人の将来性を鑑みて、期待をふくらませ過ぎないよう、理解してもらっている」と説明する。しかし、近年は少子化の影響もあり、「父母に短いスタンスで早く結果を求めたがる傾向がうかがえる」という。一方、ジュニアのタレント熱はそれほど顕著ではないが、「モーニング娘。になりたいという小学生が多い」と大山さんは証言する。事実、1998年に新設した12~20歳対象のSUNDANCE(1年制)が人気を集めている。「このクラスは小学生から中学生が多く、歌って踊れるユニット志向が強い」(大山さん)。これも“モーニング娘。効果”のひとつと言えそうだ。SUNDANCEのレッスンで実力をつければ、毎偶数月に同劇団が主催して「シアター代官山」で催されるオーディション形式のパフォーマンスライブ「ドリーム・クエスト」に挑戦。5回連続で勝ち抜くと、歌手デビューへの布石となる。

劇団ひまわり

青山学院大学前の「青山こどもの城」(神宮前)が完成したのは1979年。同年が国際児童年であったことから、当時の厚生省によって構想、建設された大型の総合児童センターである。館内には、体育室、プレイホール、造形スタジオ、音楽スタジオ、ビデオライブラリー、パソコンルームなどの施設がある。運営は財団法人児童育成協会。幼児や児童を対象とした施設だが、「体育講座」「音楽講座」「プレイ・造形講座」など、小・中・高校生向けのクラブ講座も開設している。「音楽講座」の中には、レッツ・プレイ・サンバやエレクトリック・アンサンブル、「プレイ・造形講座」の中には、小学生パソコン教室などがあり、都会型のキッズ&ジュニア施設の先駆けとも言える。

青山こどもの城

キッズ、ジュニアはもちろんのこと、ハイティーンまで魅了しつづけているのが「キディランド」。1950年、表参道に誕生した「キディランド原宿店」は当初、小さな書店に過ぎなかった。いくつかのブームを仕掛け、玩具、雑貨の分野で今日の「総合カルチャー産業」を築いた功績は大きい。「キディランド詣」のために表参道まで足を伸ばしたキッズやジュニアも多く、現在、直営・FC合わせて100店舗近くある全国「キディランド」の“総本山”として認知されている。

キディランド

■ジュニアマーケット開拓の歴史

今日、不況知らずと言われる平成ジュニアマーケットは、1990年代半ばから市場開拓に着手した一部の企業の仕掛けと、芸能界にローティーンアイドルが登場したことが伏線となり、1999年から2000年に開花し始めたと言える。ローティーンアイドルの活躍は枚挙にいとまがない。少し前なら“歌って踊る、日本一よく働く中学生”SPEEDが、今日では松浦亜弥やZONE、「モーニング娘。」や「ミニモニ」の加護亜依、辻希美など、中学生が台頭している。いま小中学生が憧れるのは、ローティーンアイドルと、ジュニア向けファッション誌「ニコラ」(新潮社)や「ピチレモン」(学習研究社)など、人気ファッション誌の誌面を飾るモデルであることはいうまでもない。

ファッション、雑誌、アイドルの活躍と連動する “平成ジュニアマーケット”開拓の歴史

1994年
アパレルメーカー「ナルミヤインターナショナル」が高級路線でジュニア服市場に進出。

1996年
ローティーンユニットグループ「SPEED」がデビュー。ローティーンを対象とした「沖縄ダンススクール」が注目を集める。

1997年
ジュニア向けファッション誌「ニコラ」(新潮社)創刊。
同年「ASAYAN」(テレビ東京)の番組企画のひとつでユニットとして結成された「モーニング娘。」が1998年にメジャーデビュー。

1999年
ナルミヤインターナショナル、4ブランド同時デビュー。売り切れ店が続出する。
同年、「ニコラ」が読者解放日を実施。大反響となる。 同年、カネボウコスメットが発売した化粧品「イエイ」が人気を博す。

2001年
ジュニア向け情報誌「メロン」(祥伝社)、「ラズベリー」(徳間書店)創刊。
同年、タカラが化粧品「スイートバンビーニ」発売。 同年、東急百貨店吉祥寺店と札幌店に「ナルミヤ・ジュニアシティ」が登場。

2002年3月
渋谷「109-2」が「JUNIOR STATION 109-2」として大型リニューアル。

1997年に創刊したジュニア向けファッション情報誌「ニコラ」(新潮社)は、出版にとどまらず、広くマーケットの“空白地帯”であったジュニアマーケットを開拓した草分けでもある。現在の発行部数=21万部は創刊時に比べ実売で約4倍の数字。「クライアントを開拓していく歴史だった」と、編集長の宮本さんが話すように、参加型マーケットを駆使し、アパレル企業とのタイアップを進め、イベントの集客を高めるなど、同誌が果たした功績は大きい。

創刊後しばらくは苦戦が続いたが、徐々に愛読者カードが増え、そこに熱いメッセージが綴られているのを見た宮本さんは「反応の高さから、読者が自分たちの雑誌だと思ってくれているのがわかった。そこで誌面でも参加できる仕組みを考えた」という。1998年春、「クラブ活動」と題した読者参加型の誌面を実施。ファッション部、探検部、手芸部など各クラブの活動で誌面に参加してもらうほか、取材やアンケートの協力に加え、企画を提案してもらうなど、具体的に部員(会員)が雑誌に参加する手法がさらに読者の支持を得た。1999年、新潮社内で開いた読者とのふれあいイベント「読者解放日」(参加無料)には、予想以上の読者が集まり、大きな手ごたえを感じたという。「読者解放日」はすでに年間3,000人もの読者が参加するイベントへと成長。近いところでは、3月28日、フリースペース「EBIS303」(恵比寿)で開かれている。

宮本さんは読者から『読者解放日に参加し、とても楽しかった』という手紙をもらい、やがて「こんなに喜んでもらえるなら、ナルミヤ(インターナショナル)さんの展示会などのイベントに読者の女の子を招待してみては」とナルミヤインターナショナルに提案する。こうして誌上アンケートや「クラブ活動」などで吸い上げた読者の動向が反映されるようになる。ファッションショーに「ニコラ」の誌面を飾るモデルが登場することで集客力も上がる。

それでも「読者の興味はすぐに変わる。ジュニアを対象とするには、いつも編集部が彼女たちの中に入り、生の声を拾い上げていなければならない」(宮本さん)と、ジュニアマーケット特有の難しさがある。「すでに半年前とは状況が変わっている。イベントや店舗に集まる女の子たちの低年齢化が目立ち、下の層と上の層の分離が始まっているようだ。そうすると商品の打ち出しも変わって来る」と、宮本さんは分析する。

一方、「ニコラ」を発刊する新潮社は伊藤忠商事と提携し、4月27日、原宿にジュニア向け衣料・雑貨・化粧品を取り揃えたショップ「ガール・イズ・ガール・バイ・ニコラ」を開店する。出版社と商社が提携して小売業に参入するケースは前例がない。宮本さんは「ローティーンのマーケットは確実に広がったが、供給されている商品はまだ少ない。マーケットをもっと知ってもらいたい、参入できるシステムを提供したい、という思いでリアル店舗の出店を思い立った。雑誌とリアル店舗でマーケットのトータルなサポートが担える」と、出店の意図を語る。ショップの立地に原宿が選ばれたのは、平日の集客が難しいジュニアマーケット特有の配慮からだ。原宿は修学旅行で訪れるジュニアも多く、全国のローティーンが最も来やすい街として選ばれたという。

新潮社「ニコラ」
nicola・イメージ

■ジュニアはファッションマーケットの救世主

アパレルメーカーのファイブフォックスが、ゴールドウインとのコラボレーションで、「コムサストア」のインショップブランドとして展開しているアクションスポーツストリートウェア「コムサコミューン」。商品ラインは、昨年秋より既存の大人向けに加え、子供向けローティーンサイズを開始。年齢軸とライフスタイル軸から「コムサ」の多ブランド化を進めているファイブフォックスのジュニアマーケットへの布石と言えよう。

渋谷パルコパート2の4、5階「キッズ・パルコ」には、ジュニアのひとつ前、ギッズマーケットが充実。おしゃれなヤングママをターゲットとした同フロアには「ヒステリックミニ」、「チャビーギャング」など子供服ブランドと雑貨が勢揃い。3月31日まで開催される「スプリング・フェスタ」には、森永チョコボールのキャラクター“キョロちゃん”が登場するほか、期間中5,000円以上購入者先着200名にプレゼントがある。

PARCO

3月25日、渋谷「109-2」が「JUNIOR STATION 109-2」としてリニューアルオープンした。7階は「ナルミヤ・ジュニアシティ」の旗艦店が進出。同日、2回に分けて行われたファッションショーには、春休みということもあり、入場を待つ長蛇の列ができた。

また、同じステージではジュニアだけで構成される、史上最年少ヒップホップユニットHEADS(ヘッズ)がライブパフォーマンスを披露。渋谷の路上で踊っていた小学生ユニットもすでに中学生。2月21日にデビューアルバム「Mic Masta!」がリリース。4月からライブツアーがスタートする。4月5日(金)には渋谷ON AIR EAST(円山町)でライブが開催される。平成ジュニアマーケットの活躍は、ヒップホップにも広がっている。

HEADSオフィシャルサイト

SHIBUYA109、109-2を管理するティー・エム・ディー広報担当の喜多さんはジュニア世代を対象とした109-2のリニューアルについて「バブル期にブランド品を購入したような、消費に長けた母親のもとで育ったジュニアの、ファッションを見る眼はとても肥えている。ジュニアの洋服は決して安くない。109で販売している商品の方が安い場合もある。しかし、ジュニアのサイフは両親、祖父母が持っている。これはマーケットとして大きい」と話す。

喜多さんはジュニアの情報源を「ファッション誌が中心。モデルが着ている洋服のクレジットを見て、ショップに買いに来るほどだ」といい、「ニコラ」や「ピチレモン」など影響を挙げる。「今回、109-2からジュニア向けに情報発信するのに、ナルミヤさんが核になってくれたのでジュニアを対象としたファッションビルが明確となった。ナルミヤさんの一人勝ちが続いているので集客は抜群」と説明する。

109-2のリニューアルの目的は、渋谷にジュニアの聖地を構築することにある。低年齢化、二極化しつつあるジュニアマーケットにシフトするようにバラエティに富んだニューショップが入店した。ひと足先に開店した「G.R.C-2」(1階)は、バックやアクセサリーなどのおしゃれ小物が揃う雑貨店。人気アイテムはファーカラー(2,900円~)、ショール(1,500円~)、ファーバッグ(3,900円~)など。

「D.O.Green Child」(6階)は、ロマンチックなラインのレディースウェア。古着テイストにあふれるアイテムが充実している。「Mighty Soxer(マイティ・ソクサー)」(6 階)はソックス専門店。ウサギのキャラクター「ウサコレフレンズ」のグッズが集合しているのが「MILK BERRY(ミルク・ベリー)」(7階)。“ウサコレ”初の専門ショップである。

109 / 109-2
109-2・イメージ 109-2・イメージ

主要なファッションビルに「ナルミヤ・ジュニアシティ」を進出し、マーケットを拡大し、「ひとり勝ち」を続けているのが、1991年創設のアパレルメーカー、ナルミヤインターナショナル(本社・神宮前)。ジュニアマーケットに進出した1994年以降、順調な伸びを見せ、特に4ブランドを同時に発売した1999年から飛躍的に伸びている。2000年1月期の売上高は約165億円、2001年1月期は184億円(前年比11%増)、2002年には約226億円(前年比23%増)の見通しである。

同社が開発したジュニア向けブランド「エンジェル・ブルー」「ディジー・ラヴァーズ」「メゾピアノ・ジュニア」「ポンポネット・ジュニア」は、現在ではジュニアのカリスマブランドに成長した。芸能界でローティーンアイドルの活躍が目立つようになり、ジュニア向けファッション誌が創刊された1997年以降、ナルミヤインターナショナルは前出した「ニコラ」とのコラボレーションなどメディア戦略、イベント開催を続け、市場を開拓した。また、モーニング娘。の加護亜依が同社の洋服を愛用したこともブレイクの要因と言われている。

同社の成宮社長は「大人の感性で服を作っても売れない。子供のことは、子供に聞かなくてはいけない」というスタンスを貫き、徹底してマーケットを分析、生の声を反映してブランドを作り上げてきた。同社プレス担当者によると、109-2「ジュニアシティ」(7 階)では、今後、洋服だけでなく、インテリア雑貨などジュニアのライフスタイルすべてを手がけていくという。ショッピングバックも109-2限定を作成し、既存の店舗とは異なったフラッグショップを目指す。今回、「ジュニアシティ」(7階)に同時オープンしたショップは「エンジェル・ブルー」「ディジー・ラヴァーズ」「メゾピアノ・ジュニア」「ポンポネット・ジュニア」の4店舗。ジュニアの「カリスマ・ブランド」ばかりである。

「ナルミヤ・ジュニアシティ」
ナルミヤ・イメージ ナルミヤ・イメージ ナルミヤ・イメージ

かつて“空白市場”と呼ばれたジュニアマーケットに参加型マーケティングを導入したナルミヤインターナショナルが参入し、一大旋風を起こし、市場は活性化した。今日では、すでにジュニアマーケットから撤退する企業、新たに参入する企業が登場している。高級品と低価格品、テイストの違う商品も発売され、「ジュニアマーケットは第一段階を越えた」(「ニコラ」宮本編集長)と呼ばれている。創生期を経て成長期へと突入したようだ。

渋谷や原宿は中学生の女の子同士が、気軽に遊びに来られる街である。ジュニア服のブランド化は、大人のマーケットのブランド志向に追随するように見えるが、これはジュニアの“大人化”というより、バブルジュニアの“早熟化”、“ヤング化”であろう。かつて渋谷で遊んだ、現在30代半ば~40代前半の母親の年代が、渋谷を思い出し、渋谷に戻ってくるとするなら、渋谷は確実にオトナ化しているが、一方ではそのジュニアをも受け入れる街へと守備範囲を広げている。ファッション誌でセンスを磨き、バブル全盛期の恩恵をあびた母親は、ごく当たり前のように娘にファッション指南をほどこす。母娘は姉妹のような感覚で情報交換を楽しみ、ファッションに目覚めたジュニアは“不況知らず”のマーケットを築いていく。一方、百貨店やファッションビルはジュニアフロアの客単価が上がっていることから、「ジュニアシティ」のように集客と売上が読める店舗を歓迎する。16歳~22歳を対象とするSHIBUYA109との棲み分けを図るために、109-2がジュニアマーケットに対象を絞った点も、渋谷の二極化を象徴しているようだ。

ただ、ジュニアマーケットの変化のスピードは、他のどの世代よりも早い。ルーズソックスの女子高生も今は昔。流行を担う層は急激に低年齢化している。彼女たちが「おもしろいと感じること」「欲しいと思うモノ」を、瞬時に提供することができなければならない。あるいは、これを先導したり先読みするために、メディアとのコラボレーションも不可欠となる。ファッション、音楽、メディアをスピード感でリミックスする“ジュニア・ファッション“市場は、まさに渋谷のお家芸とも言えるマーケット。新たな顧客層の開拓で、更なる消費パワーの増強を果たすのか・・・渋谷のマーケットにとっては気になる市場の動きとなっている。

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