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原宿の浮世絵専門美術館で「お笑い江戸名所」展 ユーモラスな庶民の姿描く

大名行列の真似事をするキツネたち(左)やダルマ形の雪だるま(中央)などが描かれた作品

大名行列の真似事をするキツネたち(左)やダルマ形の雪だるま(中央)などが描かれた作品

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 原宿の浮世絵専門「太田記念美術館」(渋谷区神宮前1、TEL 03-3403-0880)で現在、「お笑い江戸名所~歌川広景の全貌」が開催されている。

傘を1本しかもっていない男3人が雨をよけるためにとった「解決策」とは…

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 歌川広重の弟子であった広景の代表作「江戸名所道戯尽(どうげづくし)」を中心に展示する同展。幕末の江戸の名所を舞台に、騒いだり転んだりする庶民たちの「ユーモラスな姿」を描いているシリーズで、新しい年を迎えたこの時期に「初笑い」の意味も込めて開く。

 シリーズは全50点で、1859年~1861年に描かれた。王子稲荷神社付近でカボチャを担いだりトウモロコシをくくりつけた竹を掲げたりして大名行列のまね事しているキツネを描いている「王子狐火」、だるまの形をした雪だるまなどを描いた「御蔵前の雪」、柳島妙見堂のそばにあった料亭「橋本」の船着き場で、屋根船に乗って来た女性が足を踏み外して隣の船に転げ落ちてしまった姿を描いた「柳島妙見の景」、傘を1本しか持っていない男3人が雨にぬれないように取った「解決策」を描いた「本郷御守殿前」など全作品を展示する。

 シリーズの中には、広重と葛飾北斎の作品を参考に描かれている点が多く見られるという。「御茶の水の釣人」は、「北斎漫画」十二編で描かれている釣り人や針に引っかかった子どもと、「東都名所 御茶之水之図」の神田川で釣りをする人たちを組み合わせて描かれている。同展では、該当する葛飾と広重の作品も並べて展示することで広景の「アイデアの源泉」にも迫る。

 広景は広重の弟子だったということ以外資料がほとんど残っておらず、生没年や人物像なども明らかになっていないため、大きく取り上げられることがほとんどない絵師だという。そのため、同館でも広景に焦点を当てた展覧会は初めて。同館主任学芸員の日野原健司さんは「このような絵師がいたことを紹介することも、浮世絵専門の美術館である当館の役割」と話す。

 日野原さんは「江戸での日々の生活で見た江戸っ子たちの日常を面白おかしく描いている。ここまで表情豊かな姿や転んでいる姿などを描いている作例は少ない」と言い、「作品の中に見られるようなふざけた笑いが満ちあふれていたのかもしれない、という江戸の暮らしをうかがえるのでは。見て笑っていただければ」と来館を呼び掛ける。

 1月27日には学芸員が見どころを案内するスライドトークも予定。開館時間は10時30分~17時30分(入館は30分前まで)。月曜休館。入館料は、一般=700円、大高生=500円、中学生以下無料ほか。今月29日まで。

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