東急東横店東館、78年の歴史に幕-「東横のれん街」も移転へ

閉館のあいさつ後、頭を下げる神谷潔店長(左から3人目)ら

閉館のあいさつ後、頭を下げる神谷潔店長(左から3人目)ら

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 東急百貨店東横店(渋谷区渋谷2、以下東急東横店)東館が3月31日、閉館した。

1934(昭和9)年開業時の東横百貨店(現東急百貨店東横店東館)

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 1934(昭和9)年、渋谷駅と直結するターミナルデパートとして開業。当初は東館のみで、1954(昭和29)年に西館、1970(昭和45)年に南館をそれぞれ増築し現在の3館体制となった。4月以降は東館の施設・売り場を移設・集約し営業を継続する。

 同館屋上では屋上遊園地「ちびっ子プレイランド」が営業していたほか、東横稲荷神社(西館に移設済み)があった。1951(昭和26)年10月、老舗を集めた日本初の「名店街」として開業した「東横のれん街」も同所での営業を同日終了し、渋谷マークシティ地下1階に移設オープンする。

 最終日となったこの日も常連客や昔を懐かしむ人、写真を撮影する人など多くの人が足を運んだ。京王井の頭沿線・池ノ上在住の50代の女性は幼少のころから親に連れられ、屋上遊園地や「東横のれん街」などに足を運んでいたという。開業当時は「天井を低くして、照明を落としたおしゃれな空間として大人の間では評判が良かった」と振り返る。「(現在も)2日に1回は来ている。無くなるんだ…と思って歩いていたが半額だったので」と購入したケーキを手にほほ笑む。

 「おこわ米八」をはじめ、東横のれん街をよく利用していたと話すのは、アート集団「Chim↑Pom(チンポム)」メンバーのエリィさん。渋谷区内在住で、閉館セレモニーの時間に偶然通りかかったという。「すごく寂しい。(今後の)ご飯どうしよう」。渋谷マークシティに移転後は「遠くなるからなぁ…」とも。

 最終日の閉店が迫った20時50分ごろから、神谷潔店長らが記念品などを配りながら来店客を見送った。閉店時間を9分過ぎた21時9分、店内の客が全員退店。集まった客らから拍手が起こる中、神谷店長が「東横店東館78年間、東横のれん街62年間のご愛顧に心から感謝します」とあいさつ。21時12分、神谷店長らが深々と頭を下げる中、静かにシャッターが下ろされた。

 「無くなることは寂しいが今後新しい施設も建設される。新しいことに挑戦できるのはうれしいこと」と神谷店長。新しい東急東横店に関し、「東横のれん街の老舗含め、発見・楽しさを追求した売り場を作っていくので期待していただければ。東急グループ全体で『訪れたい街』を目指す」と意欲を見せる。

 新しい東急東横店(西館・南館)のリニューアルオープンは4月4日。

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