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渋谷で絵本作家・故かこさとしさん回顧展 初期から晩年まで、初公開作品も

「からすのパンやさん」シリーズより

「からすのパンやさん」シリーズより

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 絵本作家・故かこさとしさんの回顧展「かこさとし展 子どもたちに伝えたかったこと」が現在、渋谷の複合文化施設Bunkamura(渋谷区宇田川町)地下1階の美術館「Bunkamura ザ・ミュージアム」で開催されている。

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 1926(大正15)年福井生まれのかこさん。7歳ごろから絵を描くことが好きになり、1942(昭和17)年にレオナルド・ダ・ヴィンチに感銘を受けたという。1959(昭和34)年に「だむのおじさんたち」で絵本作家デビュー後、600冊以上の作品を手がけ、菊池寛賞や日本化学会特別功労賞などを受賞。2018(平成30)年に92歳で亡くなった。

 同展では、初期の油彩画や紙芝居、初公開となる絵本の原画などの作品や、資料約200点を展示。かこさんが「子どもたちに伝えたかったかったこと」をひも解く。

 オープニングには、落下した飛行機を目にするなど戦争を経験し「生きる意味を見失って」いたなか描いた自画像や、大学卒業後に研究者として勤めた昭和電工で働く人たちの姿などを描いた、初期の作品を展示する。

 かこさんが「光を見出した」のは子どもたちの姿だったという。1951(昭和26)年からセツルメントの子ども会活動に注力するようになり、会社勤めをしながら紙芝居を制作し子どもたちに披露していたほか、研究会の開催や研究誌の刊行など児童文化活動に向き合った。後に「絵本製作に大きく貢献することになった」紙芝居の原画や、フィルムに映した図像を光でスクリーンに投影する「幻灯」作品も紹介する。

 戦後、「日本らしい」絵本の制作を考えていたかこさんは、だるまを主人公に、国内各地の郷土玩具がモデルのキャラクターも登場させた11作にわたる「だるまちゃん」シリーズを制作。「一番人気」というカラスの夫婦と4羽の子どもたちの物語「からすのパンやさん」など、絵本の「名場面」や作品の誕生秘話を紹介し、「ストーリーに散りばめた学びの要素」をひも解いていく。

 終盤には、最晩年に描かれた、絶筆となる未完の大作「宇宙進化地球生命変遷放散総合図譜(通称:生命図譜)」(約1.5メートル×5メートル)を初公開する。

 会場には「からすのパンやさん」に登場するパンのオブジェが並ぶフォトスポットを用意している。

 入場料は、一般=1,400円、大学生=800円、高校・中学生=500円、小学生・未就学児無料ほか。9月4日まで。

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