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原宿・太田記念美術館で木版画の花鳥画家「小原古邨」展 原画や試し刷りも

花や鳥、動物を題材にした木版画が並ぶ場内

花や鳥、動物を題材にした木版画が並ぶ場内

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 花鳥画の絵師・小原古邨(おはら・こそん)の企画展が現在、原宿の浮世絵専門美術館「太田記念美術館」(渋谷区神宮前1、TEL 03-3403-0880)で開催されている。

表現に関する指示が書きこまれている試し刷りも

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 鳥や動物、花などの木版画を手掛けた小原(1877~1945年)は、生涯で500点以上の花鳥画を刊行しているが、海外で多く販売されていたこともあり、日本ではほとんど紹介されることが無かった。昨年9月、茅ケ崎市美術館で企画展が開催され、同年10月にはNHK Eテレ「日曜美術館」で特集され、にわかに注目が集まるようになったという。

 同展では木版画をはじめ、原画や試し刷りなども展示することで小原の全貌を紹介する。明治期の作品は、淡い色調の背景の中に「静かにたたずんでいる」鳥などを描いているのが特徴。大賞・昭和期は鮮やかな色彩が特徴で、江戸時代の浮世絵版画の復興と近代化を目指し発展した木版画「新版画」として作品を手掛けている。

 展示するのは、「蓮に雀」「桜に烏(からす)」「牡丹(ぼたん)に燕(つばめ)」など花と鳥を描いた作品や、夜行性であることから月を背景に描かれているミミズクの作品、1ミリにも満たない細い線を垂直に何本も引いて激しい雨足を表現している「雨中の小鷺」、紙の一部を浮き出させて立体感を出す技法「きめ出し」が使われている「雪の柳に烏」、虎や鹿、猿などの動物を描いた作品など。

 頭に蓮の葉をのせて片足を上げている姿を描いた「踊る狐(きつね)」は、試し刷りも並べて展示。試し刷りには、キツネの毛並みの表現に関する指示が書き込まれている。「月夜の桜」は版画にするための原画となる「画稿」も展示しているが、画稿の段階では赤紫だった桜の色が、版画では木全体が藍色で刷られているのが分かる。

 後期には、明治期に頻繁に描いた画題でもある枝にとまるカラスの作品「月夜の烏」、冬の夜に猛禽類が小鳥を捕まえて足を温めることやその小鳥を指す「温め鳥(ぬくめどり)」を描いた「鷹(たか)と温め鳥」など展示する。作品は前期と後期で全て入れ替え、計約150点を紹介する。

 開館時間は10時30分~17時30分(入館は30分前まで)。月曜休館。入館料は、一般=700円、大高生=500円、中学生以下無料ほか。5月28日まで(2月25日~28日は展示替えのため休館)。3月24日まで。

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